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戸倉上山田温泉 亀清旅館 (長野県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/17

評価:

4

硫黄の香りとヌルヌルがたまらない

身長2メートルの外人の若旦那が、寒いのに玄関外で到着を待って下さっていたようだった。
送迎や案内など接客全般も担当されているようで、流ちょうな日本語で色々お話して下さる。廊下に貼ってあった、千曲市の観光ポスターのモデルとしても登場されていた。
「小さな宿へようこそ」と挨拶されたが、私にとっては部屋は広く、後で行った浴場も予想以上に大きかった。
古民家風の館内は割とオシャレで、所々目に付く英字の看板がアクセントになっている。
宿の方皆さんの接客も感じ良い。

戸倉上山田温泉は、ph8.6のアルカリ性単純硫黄泉という大変嬉しい泉質で、ヌルヌルでありながら硫黄の香りを持つと言う貴重な温泉である。このお宿の温泉の色は深緑っぽかった。
100年前に発掘されており、温泉郷として何本もの共同源泉を持ち、亀清のお宿はそのうちの9本の源泉をブレンドした温泉を使用されているそうだ。
浴場は2つで、午後9時に入れ替わる。他に貸し切り風呂が1つあり、湯船は全部で6つある。

到着後に入った女性用浴室には、細長い何と言う事は無い内湯と、外には四角い小さな木造りの湯船と、陶器の湯船があった。
2つの露天風呂共に初め見た時、源泉の投入量も少ないため、まだ湯が溜まり切っていないのかと思ったが、浸かってみたら湯底排水である事が解った。ザザザザーと溢れだし無く、排水の音が聞こえる。
とても気に入ったのが陶器風呂で、通常この様な樽風呂は丸く小さい事が多く、脚を縮こませて浸からなければならない物が多いが、この陶器風呂は楕円形で、頭を縁に乗せ脚をゆっくり伸ばせられる。それがとても気持ち良いのだった。これはなかなか上がれない。
若旦那が信楽まで行って、自分が直接試してみて選んだ湯船だそうだ。う~んグーである。
ヌルヌルの湯は、微妙にベールの様な泡付きがあり、硫黄の香りと共にたまらなく心地良い。

入れ替わりで入った男性用浴場の内湯は、女性用と比べかなり大きかった。それだけに源泉の投入量も一番多く、この浴槽は湯面排水。装飾のタイルでは無く、石壁が斬新だった。
そして、若旦那の手造りの露天風呂は、このサイトの写真から想像していた以上に大き目の岩風呂だった。38℃位のぬる湯で、もたれていると眠りそうになる様な気持ち良さ。

中でも、朝に入った貸し切り露天風呂が、一番硫黄の香りが強く感じられ気に入ったのだが、源泉はどれも同じだそうなので、その時のタイミングや感じ方によるものなのかも知れない。45分毎で時間予約が必要だが宿泊すると無料で入れた。

どの湯船にも亀の置物が源泉投入口に飾られており、亀清と言うお宿名だけでなく、温泉街には他にも亀の名のものが多いため問うてみたら、戸倉上山田温泉は「亀が見つけた温泉」と言う事になっているらしい。
亀清さんには、今まで2回日帰り入浴を断られており(湯が溜まって無い等で)今回素泊まりで宿泊してみたが、お料理も評判らしいお宿である。
若旦那はお話好きで、長野県の他の温泉の事も教えて下さった。勉強を兼ねて他の温泉にも入りに行かれているそうだ。
戸倉上山田温泉は泉質が非常に素晴らしく、300円で入浴できる日帰り施設も7湯あり、次回は是非湯巡りを楽しみたいものだと思った。

アクセス例:しなの鉄道戸倉駅、到着後連絡にて送迎あり「喜んでお迎えに伺います」との事。

野沢温泉 共同湯 (長野県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/13

評価:

4

いやあ いい湯だった

こんなに良い温泉だったっけ?と何度かめの野沢温泉に惚れてしまった。今までとにかく共同湯というものは熱くてというイメージが強く、泉質云々など気にもしていなかったので、今回も気になる共同湯2つか3つ位入る事しか考えていなかった。

ところが、期待して泊まった宿の温泉にがっかりし、共同湯へ向かい最初に入ったのが、河原の湯だった。何んと!硫黄の香りが強いではないか。泉質も単純硫黄泉。
確かに熱いが浸かってみると何と気持ちの良い事に、う~ん野沢温泉にもこんなに硫黄の香りがする共同湯があったのだとすこぶる気に入ってしまった。 生花が湯船の上に飾られている事にも驚いた。野沢温泉の方々が温泉を大切にされている気持ちが伝わり、また、おもてなしの意味合いもあるのかも知れない。多くの共同湯で、この生花が温泉の上に活けられていた。

次に入りたかった、十王堂の湯へ。ここは外観もレトロで、湯船の淵は有福温泉御前湯の様な黒石で、中は水色のタイルに温泉がアイスブルーに映えとても綺麗。壁にもタイルが多く用いられていた。熱くて有名な十王堂の湯だが、入る人数や時間帯にも寄るので、ここも浸かれた。熱いが気持ちいい。

次に大湯へ。ここは大きい木の湯舟で、ぬるめと熱めに分けられている。白い湯華も見られた。熱めにも浸かったが、ここはやはり温め(と言っても熱めだが)で湯を楽しみたい。
あ~いい湯だなあ。広いし一応ぬるめと書かれた湯船が有るし、人気なのが解るな。

温泉神社から大釜を通り、麻釜の湯へ。何という事は無い熱い温泉で、加水とかけ湯を繰り返し浸かった。野沢温泉メインの大釜の近くにある共同湯なので、もっと期待して入ったがあんまりだった。湯の花が茶色く汚く見えるかも。

そして次に向かった共同湯が、今回一番気に入った瀧の湯だった。 入って驚いたのが、湯が何と綺麗なエメラルドグリーン!!白と黒いとても大きな湯華が、沢山溜まったり舞い上がったりしている。その上、湯船がレトロタイル風呂だったのだ!もう嬉しくて嬉しくて、野沢温泉にもこんな湯があったのだと感激ひとしお。熱くても勿論浸かりました。

もう夜も8時になると地元民さん達が多く入りに来られていたが、上寺湯は誰もおらずで、どれだけ加水しても熱くて熱くて、ここの温泉だけがかけ湯のみで終わった。湯の色は暗い緑だった。

本日最後の熊の手荒い湯。ここは比較的ぬるくて入りやすいと言われているが、この日は何故か熱かったようだった。木の湯舟が2つに分かれているので、ぬるめの方には浸かれたが、その湯船ばかりが込み合ってしまっていた。湯の色は上寺湯と同じく暗い緑。

翌朝6時から湯巡り再スタートしたのだけれど、多くの共同湯は5時から開いていた。
まず向かったのが、バスターミナル前にある横落の湯。ここは円形の湯船。円形って有りそうで少ないし、何だか丸いだけで可愛く感じる。何処の温泉でもだが、やはり朝一番は熱めの湯が気持ちいい。

次に新田の湯。ここは2年程前に出来た新しい共同湯で、浴室内の木が新しく綺麗だった。温泉は横落の湯と同じだと聞いたように思う。

で、次に行った中尾の湯。ここの湯がとても気持ち良く感じられ、とても気に入った共同湯だった。朝だったせいだろうか? ここも大湯と同じ様に木造りの大きな湯船が、熱めとぬるめに分けられている。源泉が投入されている方の湯船には白くて大きな湯華が一杯溜まっていた。源泉は白くて長いパイプから投入されているのだが、そのパイプには、同じく白い析出物がビッチリ固着していた。さすがにこちらの湯船には入られ無かったけれど。

さあ、いよいよ野沢温泉でも一番お気に入りの真湯へ。この湯は初めて野沢温泉へ来た際に「この湯が一番」と地元の方が言われていたのを耳にして入った湯だ。以来必ず真湯だけは入るし、私も一番だと思っている。
浴室を開けると、ブラウン色の床に黒石の淵。それらにに囲まれたシャーベットブルーの湯がとても綺麗!湯船の上にはここにも生花が。あ~とても上品で綺麗な温泉だ。
浸からずにはいられない。熱く無い。どこの湯よりも熱く無かった。他は80℃前後の源泉温度であるが、真湯は有り難い事に60℃源泉だったのだ。ハァ~気持ちいい、やっぱり真湯霊泉最高だ。

ここで慌てて宿に戻り朝食タイム。こうなってくると朝食を食べる事さえ面倒臭くなって来る。だから素泊まりは良いんだよな。食事の時間を気にしなくていいから。チェックアウトし、残り2つの共同湯へ。
秋葉の湯がちょっとわかり辛かったが、坂を結構上って行った先にあった。しかし8時半より清掃中であり、覗いて見たら湯がまだ僅かに溜まって来ているところだった。タイル風呂なんだなここも。 この共同湯だけが湯に入る事ができなかった訳で、朝の湯巡りは清掃中のところも多い。

最後に行った松葉の湯は、清掃中では無く入れた。この湯の色は名前と同じく松葉色。だから松葉の湯にしたのであろうと思える程松葉色。源泉投入口の周りはグリーンで、硫黄の成分が強いのが解る。かき玉汁の様な大きな半透明の湯華がゆらりと浮いていた。

「野沢温泉の湯が良いから、3時間もかかるけれど入るに来る」と話されていた方と一緒になった。私も今回、野沢共同湯に対するイメージを一新した。泉質に硫黄が含まれている温泉がほとんどであり、源泉が近いため湯が生きているのだ。熱いから力強さは勿論あるのだけれど、それだけでない気持ち良さをとても感じ、こんなに良い温泉だったのだと改めて感じた次第だった。
「外湯に入りに来ているから民宿で」と言っていた若い娘と会ったけれど、成程それが良いなと私も気づかせて貰った。温泉が売りの宿であっても、引湯されている為か湯守りがいない為か、私が泊まった宿の湯は怠けていると感じた、その違いが共同湯にはあった。

13ある共同湯はそれぞれが違うからこそ、湯巡りが楽しい。 お1人お1人の、お気に入りの共同湯を探してみられては如何でしょうか?

アクセス例:JR飯山駅より野沢ライナーもしくは路線バスで野沢温泉。

強羅温泉 温泉ホテル 強羅館 (神奈川県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/04

評価:

2

とにかく湯量が少なくて

とにかく湯量が少なくて、そのため日帰り入浴は、宿泊客の在る日か在った日でないと行われないし、入浴時間もまちまちなの、電話で何度も確認を取ってから伺った。

浴室の入り口を開けると、酸性泉が籠った嫌な匂いがする。合成樹脂で造られた天井は低く、水滴が一杯付いている。浴室は暗く閉塞感がある。
浴槽には湯が溜まりきっておらず、満たすまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。
四角い浴槽の横には広くて浅い寝湯も造られているのだが、ほとんどトド寝程度にしかならない。しかも湯温もぬるめで、3月末では寝湯など寒くて必要ないなと思った。
四角いだけの浴槽も何ら愛想が無かったが、太い円柱の柱が緑の細長いモザイクタイル貼りだった。これは貴重で扱い次第ではモダンであるのに、殺風景な浴室にあって、良さが殺されてしまっていると思った。
同じ造成泉の強羅温泉でも、太陽山荘に先に入ったもので、この浴室はかなり見劣りしてしまう。湯の色までも太陽山荘の方が遙かに綺麗に思えた。
硫黄臭が強いのは同じで、投入口の湯筒の周りには析出物が固着していたが、とにかく溢れ出すまでも湯が無いので、とてもじゃないが気持ち良く浸かれる訳が無かった。

強羅館の館内はモダンに改装されており、玄関口の暖簾を開けて入ると上品な雰囲気で、浴室へ向かう通路には窓に面しカフェスペースが設けられておりオシャレ感があったので、とても期待を持って浴場に入ったが、浴室だけはリニューアルしなかったのだろうか?打って変わって古い感じがしたのだった。
これで入浴料1000円は、タオル付きにしてもお高い。

アクセス例:JR小田原駅より箱根登山鉄道で強羅駅まで、地下通路を通り徒歩3分。

強羅温泉 国民宿舎箱根太陽山荘 (神奈川県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/04

評価:

4

浴場の美しさが温泉を引き立てる

建物の外観はレトロで、朱のベランダの手すりが目を引いた。
法師温泉の様に宿が2棟に別れており、2階を渡り廊下が結んでいる。宿泊棟だけでなく、浴場その他も建物が1つずつ別棟になっている。
フロントの雰囲気も落ち着いていた。日帰り入浴は11時~でレンタルタオル付き1100円。不定休があるので何度も電話で確認してから来た。

10年前にリニューアルしたという浴場は、大変オシャレだった。レトロモダンタイルの美しい洗面台もある。
まず目を引いたのが、太い丸太を一部用いた木造りの湯舟。木の柔らかさと重厚さが光る湯船に、濁りの濃い青緑の湯が溜まっていた。溜まっていたと言うのは、溢れ出しが少なく汚れの泡が排水溝付近に浮いていたからだ。
造成泉だが投入量が少ないのだ。この時期は木の湯筒から直接温泉が投入されていたが、暑い時期は木のつづら折りになった湯筒を通し、冷ましてから投入する様である。
硫黄の香りが強いPH2.5の酸性泉であるが、差ほど酸っぱく無く、浸かると円やかさを感じる。
1人だといつまででも入っていたくなる様な雰囲気だ。
湯船の中にある柱の支柱台は白いレトロタイルで析出物が固着していた。
浴室を見渡すと、飾り窓から和かい明るさが取り入れられ、奥の壁には3食のカラー硝子(ステンドグラス)が貼られ、整えられた洗い場があった。
この宿の温泉は、ただ温泉だけに目を向けるとイマイチなのだが、浴場と温泉を一つに見るととても素敵に見えるのだ。浴場全体の美しさが、温泉を引き立てていた。

露天風呂は無い。湯量が少ないのでとてもそんな、と言う事らしい。この辺りでかけ流し温泉と言うだけでも貴重であると、女将さんが言われていた。
男性浴場は岩風呂だそうで、宿泊するとどちらにも入れるのだろうか?泊まってみたかったが、2名より宿泊受付。入浴後もずっと硫黄の香りが離れなかった。

アクセス例:JR小田原駅より箱根鉄道で強羅駅下車し、徒歩7分程(地下道を抜け上り坂)

奈良田の里温泉 南アルプス邑奈良の里 (山梨県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/03

評価:

2.6

超ぬるめの温泉

源泉投入量は少なく、投入口付近で38~39℃くらいだろうか?3月末では超ぬるい。
木の湯舟が2つ仕切りをはさみ連なっているが、排水されて行く側の湯船などぬる過ぎて浸かっていられない。
ポスターが貼られ高アルカリ度を誇っているが、大してヌルヌル感無し。徐々に湯量も減って来ているのか、それにより泉質も劣って来ているのか?
開店を待ち入ったもう1人のお客さんと2人で、湯の投入口に陣取っていた。1時間位浸かっていると良く温まりそうだが、バスの時間が無く切り上げたため、上がる時寒かった。

日帰り温泉施設なので食堂があり、近くにはカフェもある町営の温泉施設で、水曜定休だが現在はコロナで金曜日も臨時休業している。9時から20時迄、550円。
早川町バス終点の奈良田温泉バス停からは、急坂の遊歩道を登って行かなくてはならず、キャリーケースを持っての登り降りは辛かった。

アクセス例:JR身延駅もしくは下部温泉駅より早川町バス奈良田温泉行きで終点下車し、徒歩登り急坂5分程。

奈良田温泉 白根館(2月末閉館予定) (山梨県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/03

評価:

3.3

日帰り入浴だけで営業されています

日帰り入浴のみで営業を続けられていました。10時半~16時(最終受付15時半)で1000円に値上がっています。個室休憩があり、1室2名以上~1人3800円とお高いです。人数増える毎に少しずつお安くなります。水曜日定休になっていますが要確認で。

早川町バスで終点の奈良田温泉バス停に降り立つと、ダム湖と斜め上方に白根館の立派な建物が見える。前日のバスで来て入浴する予定であったが、バスの到着時刻が遅れたため断念した。
この宿には宿泊もしたし、日帰りでも2回来ている。露天風呂のヌルヌルは特別だが、内湯はがっかりだったのを覚えている。

息子さんがお2人おられるが、どちらも宿を継がず離れて暮らされており、後継者がいないため宿泊業は止め、日帰り入浴だけに切り替えたらしい。
弟さんの方が、お父さんに言われ上湯十石温泉源氏の湯を運営されていたが、そこも閉館されている。最後に間に合い宿泊した時のお料理の美味しさは忘れられない。
できるものなら白根館を継いで、あのお料理の腕をふるって欲しいと思うのは、残念ながら個人の我儘に過ぎないようだ。

アクセス例:JR身延駅もしくは下部温泉駅より早川町バス(1日4本)奈良田温泉行き終点下車、徒歩3分。

西山温泉 蓬莱館 (山梨県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/02

評価:

3

御主人は亡くなられていました

「えっ?!嘘・・」ショックな事を聞きました。予約時の電話の声が御主人では無かったので、御主人はどうされているのかなあ?病院とかも行っていらっしゃったし・・」と思いながら何だか気になり、久々に伺いました。
そうしたら昨年の調度今頃、急性心不全でお亡くなりになられたんだそうでした。持病を持ってはいたがお元気で、お客さんを見送り普通にされていたのに突然だったそうです。
一昨年私は予約を入れ乍ら日にちを変更し、そして結局予定を変更しキャンセルしたのでした。御主人の優しさに甘えた部分もあったかも知れません。あの時の御主人の声を今でも覚えています「いいよ いいよお また来てねー」と。
御主人のお顔が函館の濁川温泉・新栄館の御主人と重なって上手く思い出せませんが、幾つかの思い出の会話を偲ばせて頂きたいと思います。

数年前、蓬莱館に初めて宿泊する日、私は富士駅のホームで身延線の乗り継ぎに失敗し、早川町の最終バスに間に合わなくなり、宿をキャンセルしないと仕方がない事になり電話を入れました。そうしたら「迎えに行くよ。折角来てくれるんだから」と言われ、下部温泉駅まで片道1時間以上の道のりを迎えに来て下さいました。以来御礼の気持ちで連泊した事もありました。
浴室に案内され温泉自慢「山から出た温泉がここへ着くまでにまろやかになってね。飲んでみてね。飲泉の許可が出ている温泉は少ないんだから」ロッカーの上には瓶が並びオレンジ色の湯の花が。パッと見ただけでは何か解らない様な、ちっちゃなみかんゼリーが溜っていた。
浴槽は1つだけど「これが家族で入るのにいいの。介護で入りに来る方がいるからね」と言われ、宿泊客が重なると「お互いで都合付けて入ってよ。どうする?」なんて、客同士に決めさせる呑気さ。
お料理も御主人が作られていて美味しかったな。息子さんが「後を継いでくれたらいいんだけどどうかなあ」と言われていたが、この鄙びた秘境温泉を若者が継ぐ事は難しいと言うより無理だろう。御親戚の方が後を継がれたそうだ。
部屋には宿泊ノートが置いてあり、そこには「30年ぶりに来たけど何も変わっていません」など古いリピーターの声が多く寄せられていた。現在の御主人も「閉めようかと思ったけどずっと来てくれてる方もいるから」と、蓬莱館を継いで行こうと思われたそうで、お一人で奮闘されていた。
2食付きだと1人泊で12000円程に値上がっていたので今回は素泊りにした。6700円程度。布団はセルフで敷く。部屋は以前泊まった時と同じ部屋だった。窓からは、立派な慶雲閣と廃館になっている廃屋の宿が対比の様に見えている。蓬莱館もかなり鄙びているが、当時はそこそこ立派な宿だったのではないだろうかと思ったりもする。


何年かぶりに宿の前に降り立つと、蓬莱館は以前にも増し活気なく古び、寂れきっている様な侘しさを感じた。今思うと、御主人を失ったからだったのだろうか・・この宿は。
驚いた事に温泉が全く「夏のぬる湯」に変わっていた。S.63年当時の温泉分析表と見比べると、泉温は10℃下がり、湧出量は5分の1となり、PHは9.0台から8.0台になり、泉質まで単純泉になってしまっていた。
そしていつからか、加温源泉を投入する配管が湯船に設置され、それにより、浸かると39℃~40℃程の温かさだったが、ほとんど溢れだしも無いため匂いも良くない。
事の他寂しかったのが、投入口の丸い大岩から2本の源泉が投入されていたのが、片方はほとんど出ず、一方からだけになってしまっていた。
宿の前に建っている慶雲閣の温泉削掘に寄り、蓬莱館の源泉が出なくなっていて裁判をしていると聞いていた。もう和解したという風にも聞いたけど、何だか寂しい。
どうしたって源泉量がこれだけ少なくなって来ていれば、当然循環がはかどらず湯面には汚れの泡が浮いて来る。それを除けて投入口付近に浸かると、湯底に溜まっていた僅かな薄い橙色の固形湯華が舞い上がった。蓬莱館の象徴である湯の花の色までも褪せていた。
源泉投入されている小さな湯船の湯温は冷たく、30度越え程度。この温泉に浸かるのは少し勇気も要ったが、何度か加温槽と交互浴を繰り返す内に慣れ、最後は温泉より温かいシャワーで身体を温めた後は気持ち良く浸かれた。
1500mの引湯距離とこの湯量では、泡も付かなかった。無味無臭の温泉。ただ、板張りの湯底は長年の温泉成分の蓄積で、めのうの様な綺麗な玉虫色で、これだけは変わりなかった。
暖かい季節になると、この木の湯舟と鄙びた静けさに癒されるのであろうか。すっかり夏の温泉に変わってしまっていた蓬莱館。 御主人様のご冥福をお祈りします。

アクセス例:JR見延駅もしくは下部温泉駅より早川町バス(1日4本)で西山温泉下車、すぐ前。

遊亀温泉 (山梨県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/04/02

評価:

4.3

源泉100%モール泉の大衆浴場

遊亀公園の裏側にある住宅地の中にあり、解りにくかったが湯煙が上がっているのを目印に行き到着。
番台で入浴料430円を支払う。看板やロッカー、脱衣籠など昭和の香りがのこっていてほのぼのする。地元密着の人気の温泉の様で、次から次へ人が入ってくる。
温泉へ入ってみて、直ぐ人気の温泉である事が解る。ぬるめと熱めの2本の源泉を持ち、それらを調整し源泉100%のかけ流しとしており、その源泉がドバドバと投入されている。
しかも泉質が温まりの湯であり、美肌の湯であるのだから、人気でない訳が無い。共同湯に於いては「温まる」という事は一番好まれる条件の様に思う。5分も浸かっていなくても汗が吹き出て来る。
薄い薄いコーヒー色の温泉で浴感はツルツル。カランやシャワーも源泉。何と言う贅沢な大衆浴場だろう。
3つの浴槽がくっついており、ライオンの口から源泉が出る浴槽が一番熱く、サッと浸かりサッと出た。その湯が手前の浴槽に流れ込んで行っており、次に熱かった。右手側の源泉が投入されている浴槽が一番ぬるく、ここに浸かっていた。
季節により入り分けができるのも良いが、いずれにしろナトリウム泉なので直ぐ温まり、バス停まで汗が止まらなかった。
60年以上前からあった温泉だそうで、温まり過ぎるくらい良く温まる極上大衆浴場だった。

アクセス例:JR甲府駅より路線バス伊勢町方面行きで遊亀公園下車。公園を抜け公園裏手方面へ徒歩5~6分

小屋原温泉 熊谷旅館 (島根県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/03/28

評価:

4

泡付きぬる湯の極上温泉

2カ月ぶりの温泉だったからだろうか?泡付きの多さのせいだろうか?1人でゆっくり浸かるぬる湯であるからだろうか?この宿の温泉はこれ程までに気持ちの良い物だったっけ?
二度目の宿泊であるが、前回ここまで気持ち良く感じたという印象は無かったが・・

浸かるとすぐ付いてくる泡が全身に広がり、ずっと浸かっていたい気分だ。38℃のぬる湯だが3月でも寒いとは感じ無い。むしろいつまでも浸かれて温かく感じる。
長年の析出物が固着した飴色の湯船。飴色の床。金気臭が強いが、飲むとむしろ甘味が強いのが三瓶山の温泉。
3つの浴室と湯船はさほど大きく無く、実際には貸し切り、家族風呂として使用できる程度。ちなみに4つめの浴室は何年か前より使用されていない。
この日、1つめの湯船には油膜が張り、浴感はちょっと円やかな様に感じた。
2つめの湯船が雰囲気として一番の好み。入らずにいられないような特別感があり、よく写真に出ているのもこの湯船。浴槽が1番小さいからか1番温かかった。
3つめの湯船が1番大きく、今回は1番泡付きが早く直ぐ全身に泡が付く。
前回は1つめの浴槽が、一番源泉に近いという事もあり、泡付きも多かった様に感じたが、その時その季節にも寄り、何といっても自然のものだから変化もするのだろう。
簡素な脱衣所には何も無く、ドライヤーも無い。昔からの湯小屋そのままだ。

部屋はコタツと洗面台とウオシュレットでは無いがトイレ付き。ただ、ドライヤ―は無く、ティシュペパーが無かったのは花粉症なので困った。
料理の味付けも全体に美味しくなっており、手打ち蕎麦は「まだ寒いのでかけ蕎麦にします」とたっぷりの十割蕎麦を出してくれた。前回ざる蕎麦の汁がそば猪口に1㎝程度しか入って無かったのに驚いたものだったが、現在はどうなのだろうか。
真っ白な炊きたてご飯と、今年初めての蕗の薹の天ぷらが嬉しく、デザートも手作りリンゴとプラムの甘煮に、お腹も一杯になった。
超薄口の味付けも改善され美味しく、宿泊価格(1人泊2食付きで税込み9800円程)を考えると十分満足したものだった。

今回、宿泊予約で2月から電話を入れていたが、その時は不愛想に「まだ開けるかどうか判らないので3月になってからかけて下さい」と言われていたが、3月を待ってかけてからは非常に愛想良く宿泊を受けて貰えた。
この宿は宿泊客を大切にと言うか浴槽が小さいため、宿泊客が到着するとその時点で日帰り入浴はストップされる。遙々行ったとしても絶対に入れて貰えない為、その時は対応に冷たく感じたものだったが、実際の女将さんは気のいい気さくな方だった。
バス停までの送迎を依頼し「新池田のバス停で降りて下さい」と言われていたが、あろう事かバス停の名前が変わっており乗り越し通り過ぎてしまった。
バス会社が、新池田の代わりにイチョウの木で有名な寺をバス停にしたそうだが、地元民にさえ何の通達も無く、HPも変更されて無く、迎えに来てくれていた女将さんもほん弄されてしまった。そんな田舎にある三瓶山の麓の1軒宿である。

アクセス例:JR大田市駅より路線バス三瓶温泉方面行きで、浄善寺バス停下車。送迎あり(要連絡)

有福温泉 御前湯 (島根県)

桜hanako

by 桜hanako (温泉達人) 2021/03/19

評価:

5

レトロモダンの素敵な共同湯

「90年前からの建物です」とレトロな番台の中から返ってきた返事に、え~凄い!と目をキラキラさせる。外観だけでなかった。館内に入ってみて、その設えのモダンさ、階段の美しさ、当時のままだと聞き驚く。3階の休憩室にあるトイレは広く綺麗で、ここだけは新しく増設されたそうだ。それまでは、外の公衆トイレに行かなければならなかったらしい。

そして浴場!変形六角形の湯船の淵は海老茶色の石が象り、その中に爽やかな水色の湯が満たされているのを、上方から眺めた。何とも美しく、共同湯に思われ無い様な湯船だった。
その真ん中には石臼の様な丸い大岩があり、2本の細い湯筒から温泉が注がれていた。サラサラと、海老茶の石を伝って溢れた温泉が流れ出ていた。
天井は高く、大きなアーチ型の窓が並ぶ。巨大な壁の一部はリニューアルされて、茶色いタイルが張られているが、以前はそこに大きな富士山の絵が掛けられていたそうだ。「置いとけばよかったのに」と地元民の方の声。私も是非残しておいて頂きたかったなあ。
それにしても何とモダンな共同湯なのだろう。昭和初期にここを建設された方は、何とオシャレな方だったのだろうと思う。

そして温泉。湯の色は、湯底のタイルの水色がそのまま反映した色だった。
浸かってみて「気持ちいいー」と思わず声に出た。えっ?何で?何か凄く気持ちのいい温泉だという事に、それが予想を遙かに超えていたためにちょっと驚きが含まれてしまった。
単に温泉だけの素晴らしさだけでは無いのかも知れない。この浴場全部が一体となって、温泉を盛り上げていたのかも知れないなと思う。綺麗な水色の爽やかさとモダンな浴槽。高い天井に明るい浴室。決して源泉投入量はドバドバでは無いけれど、中央にある花崗岩は、析出物で白い石臼に見える程になっていた。
「ここの湯は熱いですよ」と言われていたが、浸かると41℃~42℃程に感じるスッキリとした熱さで何とも気持ち良い。(後になって管理人様のレポートを改めて読んだら、自然湧出・新鮮とあった。そうだったんだ、これが気持ち良い要因だと納得でした)
洗い場も完備され、ドライヤーもあり、これで400円。

有福温泉と言えばこの御前湯と言われても当然な温泉だと思った。他にも2つ共同湯があり、今回は入れなかったが、やよい湯というのを覗いて見たら、小さいけれど私好みのモザイクタイル張りの浴室だったので再訪を誓った。今度は三階旅館に宿泊し、是非3つの共同湯に入ってみたいと思う。

アクセス例:JR江津駅もしくは浜田駅より、路線バスで有福温泉まで。徒歩5分程、坂道と石段を登る。