郷愁にどっぷり浸かり、足元湧出のにごり湯で癒される宿
- 所在地
- 秋田県仙北市田沢湖田沢先達沢国有林50
- 最安値
- 2019年10月より本陣1泊2食付12.250円 1号館12.800円 2号館9.830円 新本陣・東本陣14.450円~19.950円 (冬季は暖房費1名につき1100円プラス)
- クチコミ 貸切露天風呂があったと言う事を皆さんはご存じだったのでしょうか?私は今まで知らなかったのです。
できてからもう15年程にもなると聞き「知らなかった~」とショックがる私に「リピーターの人にはいちいち説明しないからな」と夕食時の従業員さんに慰められ「でも知って良かった。ずっと知らないまま終わったかも」と発見できた事を喜んだのでした。
何年も前、鶴の湯に貸切風呂ができた時には、その浴室はまだ出来立ての様に真新しく、檜がとても強い良い香りを放っていました。何年かその状態でしたが、さすがに今では木も黒ずみ香りもほとんど感じられなくなってしまっていますが、この貸し切り内湯ができる以前に、貸切露天風呂ができていたと聞き、今ままで知らずにいた事がショックではありました。
その貸切露天風呂は、本館一階の東本陣へ向かう廊下の奥の方、左手にありました。
貸し切り内湯と同様空いていれば、宿泊者であれば誰でもいつでも利用できます。
川沿いにある小さな岩風呂で、別館山の宿の露天風呂をもう少し小さくした様な、木々に覆われた雰囲気の良い湯船です。
難点と言えば、着替えが廊下から見ようと思えば見えてしまうという不便さを伴っているのですが・・まあ、完全な密室にはせずにと言ったところなのでしょうか。
もし私と同じように「知らなかった」という方がいらっしゃれば是非利用されてみて下さいね。初めて行かれるという方にも是非。私もこの湯舟が、紅葉を迎え~雪見露天風呂~新緑へと変化して行く姿を見てみるのが楽しみです。
今回訪れたのは9月末。多くのススキが鶴の湯を飾り、初秋の風情を高めていました。
本陣の入り口から迎えてくれたススキは、湯船の周りを彩り、鶴の湯という大きな絵の中の至る所に添えられ、これから迎える秋本番の序章を奏でているようでした。
本陣の茅葺屋根は半分だけが新しく吹き替えられ、事務所は大きな枯葉に覆われ、鄙びたランプがぶら下がっていました。
紅葉シーズンの賑わいを静かに待っているようで、訪れた日曜日は翌日が露天風呂の清掃日であるためか比較的宿泊客が少ないようで、穴場の曜日であるかとも思えました。
月曜日八時半からは露天風呂の温泉が抜かれ、空になった湯舟の清掃風景を思いがけず目にすることができたのでした。
今年は全国的に10月に入っても暑さが残り、鶴の湯の混浴露天風呂では竹筒からの源泉の追加投入は止められ、湯船の隅の方からは水が注がれていました。
従って足元湧出しているものだけが源泉そのもので、これだけの湯温を保っているという事なのですね。
東北大震災以降湯量が増えたそうで、そのために湯温も高くなり、この時期まだ加水されている湯舟が多いようでした。
今の時期は鶴の湯に在る全ての浴槽が全開している状態で、男女の打たせ湯を始め、女性が入れる露天風呂だけでも全部で5つもあります。これが真冬になると、その内の2つが空湯船になり入れませんが、それでも男性が入れる露天風呂が、通年混浴露天と貸切露天の2つだけであるのに比べて、鶴の湯では女性の方がはるかに恵まれていると言って良いかも知れません。
女性露天風呂に祀られている金精様にはアキアカネが何匹も止まり、紅葉を始めた山を眺めながら、これらの木々が黄金に染まる秋を描き、一人広々とした露天風呂に身を沈め、澄んだ空をぼおーっと眺めていると「もう此処の温泉だけでいい」と思う。
そういう思いを持つようになったのはまだこの一年の間位であり、まだ他の温泉巡りも続けてはいるが、初めはただ、だだっ広く味気なく感じていたこの露天風呂に、今ではすっかり気持ちが溶け込み、自由と解放された安らぎを感じる。
新緑、紅葉、真白く覆われた雪、満天の星空、移り変わり行く時間と空、澄んだ空気の中で浸かる温泉。
白濁の硫黄泉とこれらの自然に包まれ、身体と共に心も溶け込んで行く。
「もう鶴の湯だけでいい」と要約思えるようになった自分を知る。
アクセス例:JR田沢湖駅から乳頭温泉行バスでアルパ駒草下車。要連絡にて送迎あり。(バスの発着時刻に合わせて、午後便以降最終便迄迎え可能。帰りはチェックアウト後、午後便送迎も可能。送迎に於いてまで非常に良心的)
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