山道を歩いて2時間半、素晴らしい世界と温泉が待ってる
- 公開日
- 2018/10/24
- 最終更新日
- 2023/12/11
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管理人総合評価
3.6
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ユーザーの評価(1件)
3.6
那須10湯と言われる三斗小屋旅館。
日本百名山の1つ、茶臼岳の北西に位置し片道2~3時間かけて歩かなければたどり着けない温泉、秘湯中の秘湯である。
1142年、温泉が発見され、江戸時代には関東から会津へ行きかう人々や那須の山岳信仰の行者などでにぎわい、明治はじめの頃には温泉宿も5件ほどあったらしい。
今現在は温泉宿は煙草屋旅館と大黒屋2軒のみ。
昔は日帰り入浴もやっていたそうだが今は宿泊者専用となっている。
今回ついいつものつもりでジーパンにTシャツ、スニーカーで向かった私達だが、登山口へ到着した時点で後悔。
私達以外には誰もこんな格好をしている人がいない。。。重装備の登山者ばかりである。
三斗小屋温泉へはしっかりとした登山の装備をして向かった方が良い。
まずは茶臼岳ロープウェイへ向かったわけだが、ロープウェイの受付の方と宿で電話に出た方に峠の茶屋からの方が時間的には早いと聞いて急遽峠の茶屋からの道へ変更。
時間は既に14時半、夕食の時間が16時なのでちょっと焦り気味で出発。
登山口には登山名簿を記入する場所がある。何かあったら大変なので必ず記入!
入り口には鳥居があり、獅子舞が見守ってくれている。
鳥居には2011年と彫られている事から最近設置されたばかりのようだ。
歩き始めてしばらくの間、結構きつい階段が続く。
この時点で心が折れそうになったわけだがそれを過ぎるとすぐに高山植物が広がり、岩もゴツゴツしてくる。
美しい景色が広がり、風も少しづつ強くなってきて気持ちがいい。
きつい登りは約25分ほど。
道もなかなか危険なところもあり、スニーカーで来た私は滑ってしまい緊張の連続。
登山中、足を置く場所に意識を集中しすぎて本当に疲れてしまった。
景色のよいガレ場を歩き続け約30分で峰の茶屋へ到着。
あたりは霧がたちこめ何も見えない。
風も強く急に寒くなった為雨具を着込む。 峰の茶屋でコンビニで買ってきたメープルパンを食べたのだが、
それが妙に美味しく感じた。
ここから下っていくわけだが最初の方が怖い。坂が急だし一歩間違えたら谷底へ落っこちそうだ。
少し歩くと高山植物達とはお別れとなり、約15分ほどで避難小屋に着く。
途中に延命水と書いた札がぶら下がった水の湧いている場所がある。
味はおいしいが一般的な山水という感じ。(土っぽくなく浄化された味)
ここからは楽なコース。
ほぼ平坦な道を40分ほど歩いて到着。
途中で休憩などしながらで17時の到着となったので全部で約2時間半。思っていたより結構かかってしまった。
1泊2食付 2名1室 6畳 1名あたり8,500円 トイレ:共同
山小屋は雑魚寝イメージがあるがこちらの煙草屋旅館は個室がある。6畳で隣の部屋とは襖で仕切ってあるだけで隙間から隣が見えてしまうような簡単な作りだが、それでも個室はありがたい。
部屋は綺麗とは言えなく虫が死んでいたりするがそれは山の宿のご愛敬。
布団にシーツがなかったのだけがなんとなく嫌だなとは思ったがそれ以外は問題なかった。
【持って行った方が良いもの】
・宿で必要:
時計、ヘッドライトまたは小さなランタン、寝まき、歯ブラシ歯磨き粉、洗面用具、タオル、500mLのペットボトルまたは水筒、石鹸、シャンプーリンス、夏でも長袖が必要
※その他女性は湯着かバスタオルが必要(露天で) 電気は使えないのでドライヤーなどは必要なし
※コーヒー好きの人はインスタントコーヒーなど 朝ご飯の時お湯があまれば使わせてもらえます。
※ビールやお酒好きの人は少しは持って行った方がいいかも。 宿で買うと1本500円。
小腹がすいた時のためにおやつやパン、ジュースがあっても○。
・宿へ来るのに必要:
登山靴、雨具、水筒、夏でも長袖、雨用にリュックカバー、熊鈴
深夜トイレの時、電気がないので不便と聞いていたが本館の場合は階段にはライトがあり何もなくても大丈夫だった。(別館の場合は不明)
就寝時間は夜9時、早くてその後どうしよう、、、なんて思っていたがなれない登山にすっかりお疲れの私達は8時半には就寝。
朝は4時頃から皆さんお目覚めでお風呂へ向かう音がバタバタとする。
私達も5時には露天風呂へ向かい美しい朝日を楽しんだ。
宿の外には沢水をためているところがあり、ここで持ち込んだ飲み物を冷やす事ができる。
私達も持ってきたビールを冷やし明るいうちから飲み始めた。
登山の後のビールは最高!
お隣の大黒屋は立派。
こちらは煙草屋より綺麗で旅館に近い建物。
トイレなども綺麗で山小屋系の中でも設備が整っているのではないだろうか。
ただ大黒屋には露天風呂がないので温泉メインの方は煙草屋がお勧め。
夜ご飯は広間で集まって食べる。
食材は届けてもらうわけにはいかない為、宿の方が担いで歩いて持ってくるらしい。
その為食事内容は簡素だが感謝してありがたくいただく。
それでも運動をした後にはとてもおいしく感じた。
遠くまで見渡せる絶景の露天風呂
2時間歩いてたどり着く露天風呂。周辺は大自然で緑が生い茂る。
露天風呂からは遠くまで見渡せ絶景。ただ残念なことにこの日は雲で景色が見えず、その絶景ぶりは楽しむ事ができなかった。
この露天風呂は混浴ではあるが登山の人はとてもマナーがよく、着替える間脱衣所の外できちんと待っていてくれたりと心遣いがすばらしい。
女性タイムも15時~17時まで設けられているので女性でも十分に露天風呂へ入る事ができる。
湯量はなかなか多く温度は熱め。
熱めとぬるめに分かれており析出物もいい感じについている。
この析出物がなめらかで触り心地がよくもたれるとやさしく受け止めてくれる。
内湯 混浴
こちらの源泉はおそらく別源泉。
透明で鉄の味がしない。透明度が高くピリッとした気持ちいい源泉だ。
内湯 女性用
源泉は露天風呂と同じ。
露天風呂より断然鮮度が高く小さな湯船にザバザバと源泉が注がれている。
湯船へ浸かると桶が踊るほど。
お湯に関しては一番気に行ったので何度も入りにきた。
ただ喚起が悪いのですぐ熱くなってしまうのが残念。
朝ご飯は塩っ辛いイメージ。
漬物や日もちのするような内容だ。
ただ温泉卵はものすごくおいしく感じた。
他の宿泊客の人達は自分達でちょっとしたオカズを持ってきている人もいた。
帰りはあいにくの大雨。
雨具を着込み朝8時に出発。
帰りは行きよりは楽で順調に進み、1時間40分で到着した。
三斗小屋温泉 煙草屋旅館の良いところ】
山を楽しめたところ。
宿も部屋が一応あり、雑魚寝ではないしトイレも共同だが登山者のマナーが良いせいもあり綺麗に保たれている。
温泉は露天風呂からの景色はすばらしく、鮮度で言えば内湯が最高。
夕暮れに散歩、宿の前に腰かけ山の景色を楽しみながらビールを飲むあの雰囲気。
すばらしい体験をさせてもらったお宿だ。
【三斗小屋温泉 煙草屋旅館の良くなかったところ】
基本的にもてなしを期待してはいけないお宿。
この場所でこれだけのものを提供してくれる煙草屋旅館に感謝する。
そういう意味で良くなかったというところはなし。
日帰り入浴受付中
コロナで客が少ないため、6月より異例に日帰り入浴も1000円で受け付けている。終了は未定。折角行くのだからと、煙草屋さんと大黒屋さんに1泊ずつする事にした。
大丸温泉ニューオオタカ~峠の茶屋~茶臼岳登山~峰の茶屋へ。
峰の茶屋のガレ場を下るとすぐ、谷底に三斗小屋温泉が見える。祖谷温泉ならケーブルカーだよなと思いながら、祖谷温泉よりずっとずっと深い森に沈む谷底を目指す。
とすぐに、えーっ!ここを下るの?と言う道幅30~50㎝程の砂礫の急坂が・・隣は崖。
こんな恐ろしそうな道とは知らなかったよ。この道を見て宿をキャンセルした人もいたそうだ・・だよね~と思いながら、僅かな冒険心が勝って恐る恐る下り始めた。強風で進めず四つん這いになってそのまま凍死してしまった人もいたらしいし・・
急勾配ではお尻を着いて滑り降りた。だって怖いもん。10m程の下りだが二度と嫌。今度は頑張ってでも朝日岳登山ルートで行こうと思った。
ようやく到着し突如現れる風景は、映画のロケセットの様なちょっと異次元のレトロな雰囲気感が漂う世界。
煙草屋旅館の温泉は3つあり、いずれも源泉かけ流し。まず入った共同湯と言う混浴内湯は14時半~15時半が女性用。石鹸・シャンプー禁ではあるが、ようやく辿り着いた後の温泉程気持ち良いものは無い。
浴室全部が木造で、板張りの床に木風呂が2つ連なり、投入口が無い方がややぬるめ。とは言っても熱いので、まずかけ湯で身体を慣らしてから浸かる。43℃位だろうか、無色透明無味無臭の湯は熱いが気持ち良い。窓からは緑が見え山も見え「来たなあー」と言ういい感じ。
隅には色んなお掃除グッズが立てかけられており、山小屋温泉とは思えない位とても綺麗に掃除されていた。そのこざっぱり感が浴室の気持ち良さを更に高めている。
次にこの宿メインの混浴露天風呂の女性用時間、15時半から16時半がやって来た。
宿から少し歩く。おぉー遠くに山。この景色はちょっと高峰温泉の露天風呂を思いだしたが。
楕円形の露天風呂も2つに仕切られており片側がややぬるめ。湯船の内壁はデコボコした造りになっているが、これもまたよく掃除がされている。露天風呂であっても、壁も湯底もヌルツキが無く、気持ち良く入れる。浴感はツルツルしていた。
ここにも掃除道具が並び、箒の毛先は良く使われはねていた。毎日湯を抜き、徹底的にお掃除されているようで、湯船は磨かれていた。
女性時間は18時~19時にもあり、夕陽が落ちる所を見られ、感動的だった。
翌朝まで使えるので、晴れた夜には満天の星空も露天風呂に浸かりながら見る事ができる。ベランダからでも星空が見え、天の川と流れ星が1つ見られ嬉しかった。
もう1つの女性用内湯の湯は鉄分が多いのか金気臭がし、湯船が茶褐色に染まっていた。こじんまりとしており、籠もり湯にもってこいだと思ったが、蛍光灯の電気が明るすぎて・・。もっとほの暗くした方が、落ち着いてゆっくり籠もり湯ができるのにと思った。
食事は取り立てて言う様な物は出されないが、食材を含めこの宿の生活用品は全て、ヘリコプターでの吊り降ろしにより運ばれていると思うと、貴重である。良質なお米と茶葉が提供されている事に感心した。
山小屋ではあるが個室対応。談話室は2か所あり、紅茶サービスがあった。枕カバーと、ハーフシーツを提供してくれる。浴衣もレンタルできる。消灯後も真っ暗ではないので、ランプの用意は必要ない。飲料水は沢水を消毒したものが飲めるようになっており、途中の道では延命水と言うとても冷たい沢水が飲める。
電波環境が悪く、携帯電話・テレビ・インターネットいずれも繋がりにくく、gotoトラベルはできなかったそうだ。1泊2食で10000円。
こんな所に温泉宿が・・と言った感じの煙草屋旅館は、露天風呂から山へ落ちる夕陽と満天の星空が見られる、登山してしか行けない本物の温泉宿だった。
ちなみに大黒屋旅館の内湯は渋い。深い宇宙(空)の様な深い深海(海)の様な深い藍色の湯底に、鉛銀の光が鈍く光る神秘的な温泉。永年の温泉成分の結晶である湯底はちょっと他には無い素晴らしい雰囲気の湯船だ。熱めの木風呂とぬるめの岩風呂が、1時間ごとに男女入れ替わるというシステム。 こちらのお宿は生活必需品はヘリコプターの吊り降ろしではなく、食材含め全て、徒歩で下山しての買い出しで、山小屋とは思えない手作りのお料理が感激的だった。連泊したい温泉宿だ。石油ランプが郷愁を誘う(gotoトラベル対象宿)〔br />
三斗小屋温泉、どちらもいい。煙草屋旅館の露天風呂には一度は浸かってみたいし、大黒屋の神秘的な内湯にも是非浸かってみて欲しい。
アクセス例:JR那須塩原駅より路線バス那須ロープウェイ行きで大丸温泉下車。前泊し翌朝登山で三斗小屋温泉まで。