令和元年5月宿泊し、郷愁と落ち着きに感動。
(前回の口コミに、立ち寄り入浴の際、加仁湯の宿泊客が、入浴中に無断で物見に来たと書かせて貰ったら、早速対策を講じて下さっていたようで、露天風呂の入り口には、チェーンが張られており、これで安心。すぐ、改善して下さっていた事に感謝です)
日光澤温泉と言えば「ノスタルジックに浸れる宿」という事で、校舎を思わせる宿は「2代目が、この山の木を切って、建てた宿なんですよ。だからこの土地に合っているというか、とっても丈夫なんですよ」と4代目の女将さんが話される。
昭和40年頃に建てられた宿はそのままで、皆を優しく包むように、ここで待っているかのような風貌のある宿だ。
昔、山を守り、山で輝いていた木は、現在は質実剛健な宿となり、こうして人を守り、ずっとこの山で生き続けているのだなあと感じた。
建物だけでなく、薪ストーブ、スダレがかかっている縁側、部屋は木の壁であったりと、どこもかもが郷愁と温かみがある。
それだけでなく、宿に足を踏み入れた時から一番に感じた、館内が綺麗に清掃され、すっきり清潔感があるという気持ち良さ。
これは非常に重要な事で、例えば共同トイレの立ちトイレには、新聞紙が敷かれてあり、汚れればすぐ取り換えられ、抑止力にもなっているようだ。一見見た目が悪い様に思われるかも知れないが、ところが広い木造のトイレに、簾の間仕切りなど、空間全てが木の中にあり、広さがあるので汚らしく思わないし、第一トイレが臭くないので、こういった方法は、清潔を心掛け、少しでも快適にという配慮に思える。
勿論、部屋も布団も、カビ臭さや生活臭など一切無し。
木造の部屋に、昔ながらの傘電球1つというシンプルさが、とても気持ちを落ち着ける。夜、2階の縁側から、満天の星を見ていた。網戸代わりのスダレと2階の縁側。とても素敵なスペースだった。庭にも椅子やテーブルがあるので、夏はそっちでもゆっくり星を見られるのもいい。
温泉は、私は女性用の内湯が気に入った。内湯は宿泊しないと入れないので、是非宿泊して味わって頂きたい。湯の色は薄く紺色がかっており、籠り感のある浴室にこの湯はとてもいい。日により色が変わるらしく、濁りが強くなって紺鼠ぽくなったりしていた。
源泉は4本あり、湯船のすぐ横から自噴しているものが3本と、山から引湯の濁り湯の露天風呂。それぞれ色や泉質が違い面白い。
いずれも高温のため加水されているが、湯面だけが熱くなっている時は、湯もみ板を用いるとすぐOK。
上下2つの露天風呂は混浴であるが、夜間に女性専用時間帯が設けられており、その際、内湯も男女入れ替えとなるので、4つの違った種類の温泉を味わえる事になる。
休日は女性客も多いため、できれば昼間も露天風呂の1つを女性用として開放して頂けると有り難いのだがと思ってしまう。
食事は囲炉裏のある広間、もしくは薪ストーブのある部屋で摂るが、山宿とは思えない、天ぷらや岩魚が出たりし全て手作りのお料理は、とても満足のいくものだった。山小屋という立ち位置ではあるが、一般的な温泉宿としての価値も十分にある宿なので、もっと多くの方が気軽に利用されて、この温泉宿の良さを知って頂きたいと思う。紅葉時期1人宿泊でも10000円というリーズナブルさだ。
この日は、老ハイカー2組の方と一緒になり、山談義・温泉談義で盛り上がった。当然、夫婦渕からは歩いて来られたようで「こんなに気持ちのいい新緑の中、歩かないと損よ」と言われてしまった。次回は絶対歩いて来よう。川沿いの平坦な解りやすい道を、2時間程のハイキングで着くそうで、当然紅葉の頃も素晴らしいだろうな。
という事で、2019年10月鬼怒沼にチャレンジした。出発が遅くて御主人に叱られた。山では命の危険と向き合うのも、守るのも自分。ずっと長い間、多くの登山客の命と向き合い続けて来た御主人と女将さんに、心配をおかけしてしまった。翌々日はヒナタオロシの滝へ。女将さんが下見をされた道を教えて頂くが、解りにくく登山しなければ見られない滝だった。紅葉に包まれ輝く白い滝は、まるで日本人形の様でも、白蛇が錦に包まれる様でもあった。日照時間が僅かでしか無く、木々が少なく岩の多い華厳の滝が男性であれば、こちらは女性の滝の様である。道が解りにくいので、橋の入り口に道標があれば良いのになと思う。
奥鬼怒温泉郷は、関東方面にありながら、秘境中の秘境温泉である。鬼怒川温泉駅から、バスだけでも合わせて2時間、山へ入らねば行かれない。さらにそこから徒歩なら2時間。そうして着いた奥鬼怒には素晴らしい大自然があり、渓谷沿いにあるからだろうか、殊に新緑と紅葉の美しさは特別であり目を奪われる。
今、この大切な大自然と共にある、大切な温泉地に「地熱発電」の計画が上っているそうだ。女将さんは言う「そんな事したら、絶対湯脈が変わって、温泉が枯渇してしまう」
「秘境なんですよここは。大秘境なんです!」と私。「そうなんですよ。卑怯なんです!」と女将さん。ヒキョウ繋がりで、地熱発電に反対してしまったが、やはり守って頂きたいと思う。
しかし何故この温泉地なのだろうか?奥鬼怒温泉郷の宿はいずれも、さほど高温泉でも湯量が物凄く多い訳でもない。故にどうしても、湯脈が変わり、湯量が減り、湯温が下がるのではという心配がある。これは温泉郷としては死活問題だ。草津の様に、高温で多量の源泉が湧出している地であれば解らなくはないのだが・・もしくは群馬県の様に浅間山や白根に近く高温泉が点在している場所ではダメなのか?いっそ温泉郷ではなく、山を開発してはどうなのだろうか?やはり4軒だけしかなく、東電にとっては交渉しやすいのだろうかと思ってしまう。同じく3軒の松川温泉郷は、確かに地熱発電の恩恵を受け、冬は館内も暖かく快適ではあるが、あちらはそもそもがもっと高温泉である。そして非常に残念な事に、松川荘の前には工場の様な巨大パイプが走っている。峡雲荘の露天風呂からも、地熱発電所が見えている。これらの物は自然の中では違和感となってしまう。
多くの国立公園には自然歩道が設けられ散策が楽しみだが、ブナ林が美しい奥鬼怒にもその様な自然散策路ができれば1つの観光にもなると思うのだがどうだろうか。
この素晴らしい奥鬼怒の大自然が、破壊されることの無い様、またこの素晴らしい温泉郷が、いつまでも個性的で素晴らしい温泉郷であり続けられますよう切に願ってやまない。
宿の前には、看板犬の大人しく地味なサンボが寝ている。滋味な校舎のような宿によく似合う。館内には、ちょっと若き日のハンサムなサンボを抱いて、これ以上ないという位の満面の笑みの素敵な御主人が写った写真が飾られていた。寒い夜は湯たんぽサービスもある。チェックアウト後であっても女将さんが、暖かい薪ストーブの休憩室で「どうぞゆっくり休憩して行って下さいね」と声を掛けてくれる。
何故この宿は落ち着くか。そうか全てが木造りなんだ。木の温もりと人の温かみのある自然な山宿。当然リピーターは多く、そうでなくても連泊したくなる宿だ。
アクセス例:鬼怒川温泉駅から日光市営バスで夫婦渕まで。そこから徒歩で約2時間。
(歩けない方は、八丁湯か加仁湯へも合わせて宿泊すると、送迎に応じて頂けるようです)
郷愁に浸る
令和元年5月宿泊し、郷愁と落ち着きに感動。
(前回の口コミに、立ち寄り入浴の際、加仁湯の宿泊客が、入浴中に無断で物見に来たと書かせて貰ったら、早速対策を講じて下さっていたようで、露天風呂の入り口には、チェーンが張られており、これで安心。すぐ、改善して下さっていた事に感謝です)
日光澤温泉と言えば「ノスタルジックに浸れる宿」という事で、校舎を思わせる宿は「2代目が、この山の木を切って、建てた宿なんですよ。だからこの土地に合っているというか、とっても丈夫なんですよ」と4代目の女将さんが話される。
昭和40年頃に建てられた宿はそのままで、皆を優しく包むように、ここで待っているかのような風貌のある宿だ。
昔、山を守り、山で輝いていた木は、現在は質実剛健な宿となり、こうして人を守り、ずっとこの山で生き続けているのだなあと感じた。
建物だけでなく、薪ストーブ、スダレがかかっている縁側、部屋は木の壁であったりと、どこもかもが郷愁と温かみがある。
それだけでなく、宿に足を踏み入れた時から一番に感じた、館内が綺麗に清掃され、すっきり清潔感があるという気持ち良さ。
これは非常に重要な事で、例えば共同トイレの立ちトイレには、新聞紙が敷かれてあり、汚れればすぐ取り換えられ、抑止力にもなっているようだ。一見見た目が悪い様に思われるかも知れないが、ところが広い木造のトイレに、簾の間仕切りなど、空間全てが木の中にあり、広さがあるので汚らしく思わないし、第一トイレが臭くないので、こういった方法は、清潔を心掛け、少しでも快適にという配慮に思える。
勿論、部屋も布団も、カビ臭さや生活臭など一切無し。
木造の部屋に、昔ながらの傘電球1つというシンプルさが、とても気持ちを落ち着ける。 夜、2階の縁側から、満天の星を見ていた。網戸代わりのスダレと2階の縁側。とても素敵なスペースだった。庭にも椅子やテーブルがあるので、夏はそっちでもゆっくり星を見られるのもいい。
温泉は、私は女性用の内湯が気に入った。内湯は宿泊しないと入れないので、是非宿泊して味わって頂きたい。湯の色は薄く紺色がかっており、籠り感のある浴室にこの湯はとてもいい。日により色が変わるらしく、濁りが強くなって紺鼠ぽくなったりしていた。
源泉は4本あり、湯船のすぐ横から自噴しているものが3本と、山から引湯の濁り湯の露天風呂。それぞれ色や泉質が違い面白い。
いずれも高温のため加水されているが、湯面だけが熱くなっている時は、湯もみ板を用いるとすぐOK。
上下2つの露天風呂は混浴であるが、夜間に女性専用時間帯が設けられており、その際、内湯も男女入れ替えとなるので、4つの違った種類の温泉を味わえる事になる。
休日は女性客も多いため、できれば昼間も露天風呂の1つを女性用として開放して頂けると有り難いのだがと思ってしまう。
食事は囲炉裏のある広間、もしくは薪ストーブのある部屋で摂るが、山宿とは思えない、天ぷらや岩魚が出たりし全て手作りのお料理は、とても満足のいくものだった。山小屋という立ち位置ではあるが、一般的な温泉宿としての価値も十分にある宿なので、もっと多くの方が気軽に利用されて、この温泉宿の良さを知って頂きたいと思う。紅葉時期1人宿泊でも10000円というリーズナブルさだ。
この日は、老ハイカー2組の方と一緒になり、山談義・温泉談義で盛り上がった。当然、夫婦渕からは歩いて来られたようで「こんなに気持ちのいい新緑の中、歩かないと損よ」と言われてしまった。次回は絶対歩いて来よう。川沿いの平坦な解りやすい道を、2時間程のハイキングで着くそうで、当然紅葉の頃も素晴らしいだろうな。
という事で、2019年10月鬼怒沼にチャレンジした。出発が遅くて御主人に叱られた。山では命の危険と向き合うのも、守るのも自分。ずっと長い間、多くの登山客の命と向き合い続けて来た御主人と女将さんに、心配をおかけしてしまった。翌々日はヒナタオロシの滝へ。女将さんが下見をされた道を教えて頂くが、解りにくく登山しなければ見られない滝だった。紅葉に包まれ輝く白い滝は、まるで日本人形の様でも、白蛇が錦に包まれる様でもあった。日照時間が僅かでしか無く、木々が少なく岩の多い華厳の滝が男性であれば、こちらは女性の滝の様である。道が解りにくいので、橋の入り口に道標があれば良いのになと思う。
奥鬼怒温泉郷は、関東方面にありながら、秘境中の秘境温泉である。鬼怒川温泉駅から、バスだけでも合わせて2時間、山へ入らねば行かれない。さらにそこから徒歩なら2時間。そうして着いた奥鬼怒には素晴らしい大自然があり、渓谷沿いにあるからだろうか、殊に新緑と紅葉の美しさは特別であり目を奪われる。
今、この大切な大自然と共にある、大切な温泉地に「地熱発電」の計画が上っているそうだ。 女将さんは言う「そんな事したら、絶対湯脈が変わって、温泉が枯渇してしまう」
「秘境なんですよここは。大秘境なんです!」と私。 「そうなんですよ。卑怯なんです!」と女将さん。 ヒキョウ繋がりで、地熱発電に反対してしまったが、やはり守って頂きたいと思う。
しかし何故この温泉地なのだろうか?奥鬼怒温泉郷の宿はいずれも、さほど高温泉でも湯量が物凄く多い訳でもない。故にどうしても、湯脈が変わり、湯量が減り、湯温が下がるのではという心配がある。 これは温泉郷としては死活問題だ。草津の様に、高温で多量の源泉が湧出している地であれば解らなくはないのだが・・もしくは群馬県の様に浅間山や白根に近く高温泉が点在している場所ではダメなのか?いっそ温泉郷ではなく、山を開発してはどうなのだろうか?やはり4軒だけしかなく、東電にとっては交渉しやすいのだろうかと思ってしまう。同じく3軒の松川温泉郷は、確かに地熱発電の恩恵を受け、冬は館内も暖かく快適ではあるが、あちらはそもそもがもっと高温泉である。そして非常に残念な事に、松川荘の前には工場の様な巨大パイプが走っている。峡雲荘の露天風呂からも、地熱発電所が見えている。これらの物は自然の中では違和感となってしまう。
多くの国立公園には自然歩道が設けられ散策が楽しみだが、ブナ林が美しい奥鬼怒にもその様な自然散策路ができれば1つの観光にもなると思うのだがどうだろうか。
この素晴らしい奥鬼怒の大自然が、破壊されることの無い様、またこの素晴らしい温泉郷が、いつまでも個性的で素晴らしい温泉郷であり続けられますよう切に願ってやまない。
宿の前には、看板犬の大人しく地味なサンボが寝ている。滋味な校舎のような宿によく似合う。館内には、ちょっと若き日のハンサムなサンボを抱いて、これ以上ないという位の満面の笑みの素敵な御主人が写った写真が飾られていた。 寒い夜は湯たんぽサービスもある。チェックアウト後であっても女将さんが、暖かい薪ストーブの休憩室で「どうぞゆっくり休憩して行って下さいね」と声を掛けてくれる。
何故この宿は落ち着くか。そうか全てが木造りなんだ。木の温もりと人の温かみのある自然な山宿。当然リピーターは多く、そうでなくても連泊したくなる宿だ。
アクセス例:鬼怒川温泉駅から日光市営バスで夫婦渕まで。そこから徒歩で約2時間。
(歩けない方は、八丁湯か加仁湯へも合わせて宿泊すると、送迎に応じて頂けるようです)