濁川温泉 新栄館 外観
見てください。この看板のレトロ感、いいでしょう。
左にあるのが明治時代に建てられた浴舎、真ん中が大正時代の旧館、右が昭和時代の新館です。
玄関
手書きのメモもいい感じ
入口から入ると木造りで懐かしく感じるような空間が広がります。
おばあちゃんの家にでも来たような気がするホッとする感じです。
「こんにちはー!」と声をかけてもシーンと静まり返り、何度も声をかけても誰も出てきてくれず、しかたがないので張り紙がしてある電話番号へ電話してみようかと思った時、奥の部屋からおじいちゃんが顔を出しました。
テレビを見ていたので聞こえにくかったようです。
味のある廊下の天井
浴室前の階段
基本的には男性用として利用されている浴室ですが、女性も入れる混浴です。
しかしながら「日帰り入浴をしたいんですけど」と言うと「女性はあっちね」と女性用の浴室を案内されてしまうので知らなければこちらの浴室には入れません。
しかも「男性」としか書いていないので知っていても不安になってしまいます。
かなり入りにくい混浴なので躊躇してしまいますが、入らないと損と断言できるほど素敵な浴室なのでがんばって入った方がいいと思います。
脱衣所
洗い場
脱衣所は男女の間に申し訳程度の衝立があります。
気持ち分かれてるという気分の問題で、ほぼ意味のないような気がしますがないよりはマシですね(^-^;
「滅びの美」朽ちた屋根と歴史を重ねた浴槽
混浴内湯 源泉かけ流し 浴槽温度:左奥46度、他44度
岩をくり抜いた浴槽が3つ。長い年月濃い温泉が流れ続けたことで岩の浴槽をすっかりと析出物でコーティングされ、味のある素敵な浴槽になっています。
きっと明治時代から変わっていないだろう浴室はレトロそのものでたまらない美しさに惚れ惚れしてしまいました。
湯は黄色がかった透明で、ツルツルしたやわらかい浴感、細かい茶色の湯ノ花が浮遊し、表面には油が浮いています。
甘い鉄と油臭がたまらなく良い香りです。
崩れ方に美しさを感じてしまうボロボロな天井
浴室の天井を見上げると、ボロボロと朽ちている屋根が目にとまります。
しかしこのボロ具合が美しい・・・、滅びの美のように思いました。
この浴室で一人っきりで、しかも夜入ってみたいなぁ。
源泉投入量はそこそこ。48~49度の源泉が注がれ、浴槽の温度も結構熱い。
右奥の浴槽は投入量が少し多めなようで浴槽の温度が46度、その他は44度でした。
入浴しながらの目線はこんな感じ。
浴槽
冷水が流れているホース
新館への通路
新館のエントランス
さて、お次は新館にある女性用の内湯です。
昭和時代に建てられた新館はしっかりした造りで普通の建物です。
入口
脱衣所
脱衣所や浴室は綺麗に掃除されていました。
新館 女性用内湯
女性用内湯 源泉かけ流し 浴槽温度:約42度
混浴の内湯と湯は同じです。
温度もちょうど良い温度(おそらく42度ぐらい)でこちらではあまり熱いという印象はありません。
源泉湯口
湯は黄色がかった透明
源泉は同じですがやっぱり浴室の雰囲気が違うとだいぶ違いますね。
とはいってもこちらだけ入っていたとしても気に入ってはいたと思いますが。
混浴の浴槽では撮れなかった表面の油膜が女性用内湯で撮れたので載せます。
金属はみんなこんなになってしまいます。いい温泉を持つとこういったメンテナンスも大変だし苦労が絶えないかと思います。
源泉も毎分100Lぐらいはあるのでもっと投入量を増やせるらしいのですが、スケールがたまるのでこれぐらいにしている、とおじいちゃんが話していました。
浴舎を見る限りでは、あとどのぐらいもつのか心配になるほどの雰囲気ですが、
これからもいつまでも変わらずにあってほしい温泉だと思いました。
平均: 2 レビュー
Nov 10, 2023
鄙びた温泉
三つの浴槽があって、源泉近くの浴槽は激熱でした笑
水入れられるので、ちょっと温くして入りましょう!
のどかな場所なので、雰囲気最高ですし、また行きたい温泉の一つです!
May 17, 2019
令和元年5月素泊まり泊。行きたいという思いは、予約電話をかけた時から始まっていた。その通り、とても温かみのある御主人が、石谷駅で待ってて下さっていた。
「見てく?昔、道内で一番多くニシンが取れて、その碑があるの」と駅のすぐ隣にある鰊の碑を見て「ここからが一番眺めがいいんだよ」と海の向こうの蝦夷駒ヶ岳の写真を撮った。
海抜6mと表示された石谷駅。函館からは1両列車が、海とレールが並び、そして、森のイカめしで有名な森駅を過ぎ、番屋の並ぶ何もない海辺の町を通り過ぎて来た。
鰊で賑わった漁村からは、山側になる濁河温泉の開拓民達は昔「カラスって言われてたんだ」と苦笑いしながら話された。
山の方へ入って行く。「小学校だけは山に造ったんだ」と。湾になっているため津波の危険は低いそうだが、何といっても海抜が低い。新しく可愛い小学校が建てられていた。
「ここら辺一帯は、噴火口」という事で、濁河温泉は、カルデラ温泉だそうだ。そう言えば、外輪山の中の平野に、大きな1軒家があった。
向かって左側は明治~大正の建物で、混浴があり、宿泊は右側の昭和に建てられた新館で、女性用浴室がある。
2年前奥様を亡くされ、以降は4代目となる息子さんが、料理担当をされており、大旅館で修行したジビエ料理を提供されているそうである。
「今日はお客さん1人だから」と言われた途端、マイ温泉になる。温泉宿に泊まり、いつでも自由に1人で入れるという事程、贅沢な事はない。
部屋は広く、厚みのある羽毛布団が敷かれていた。テレビ、冷蔵庫、アメニティも揃っている。
問題なのはトイレが、浄化槽であるという事。これで1人1泊素泊まり4000円という価格であった。
地元の日帰り客がポツポツと後を絶たず、20時以降を待って、混浴へ。
浴室に入った途端、木系+シンナー系?と言おうか、う~んいい匂い。
湯舟は3つあり、内2つは加水できるが、それぞれ微妙に温度差があり、好みの湯船というか、いずれも熱いので、できるだけ加水無しで浸かれる湯船を探してかけ湯を繰り返す。
熱めであるが、浸かれない事は無い。浸かっていると実に気持ちが良い温泉である。
浴室は籠り感がすごい。湯気がミストになって立ち昇って行くのが見える。沁み沁みと浸かる。あ~いい湯だ。この温泉を是非味わって頂きたい。
湯の色は透明、緑茶色。味は極々薄く塩味。浴槽の元はコンクリートだったのか?ベージュ色の析出物で、こってりとコーティングされ、柔らかく丸みを帯びている。床も析出物で波打っている部分が多い。
天井は、中央が明かり採りのためか、ビニール製となっており、それがバラック感を高めてしまっているが、木造天井の浴室であった。
女性浴室は趣は無いが、湯温は混浴に比べやや温めのため入りやすい。引湯距離が長いためと思われる。と言っても地下10メートルから湧き出ており「他の宿は数10メートルから数100メートルも掘ってるんだから、飲泉できるのはうちだけ」うちの温泉が一番と御主人が言われる通り、素晴らしい泉質だと感じる。
女性湯船は段になっており、寝湯もできる。どちらも勿論24時間かけ流しで、入浴できる。
余りの気持ち良さに1泊の間5回入ったが、とうとう5回目には、ずっしりと背中に子泣き地蔵を背負う事になってしまった。「うちのは濃いから」入り過ぎ注意である。
温泉表示は当時の色褪せたものが貼られているだけで、食塩泉と書かれており、成分は5千を超えていた。
宿の前の、満開のかんざしの花の下、山積みにされた大きな石があった。露天風呂を、造る予定だと言う。その前には「足湯・足丸」と書かれた船が横たわっていた。
いつか実現して頂けたらいいなーと思った。
館内に、新栄館が舞台になった「温泉の神様の失敗」という、ご当地本のポスターが貼ってあり、求めたが宿には在庫がなかった。奥様と並んで写られていた御主人の姿があった。
息子さんが宿を継いで下さることは喜ばしい事だけど、御主人の中では奥様を亡くされた寂しさが、癒えられていないのだろうか・・
電車の時間に合わせ、長くおらせて頂いた帰りも、石谷駅まで送迎して下さった御主人が、ぽつんと一言「一期一会になるかも知れんけど・・」と言われた。
一期一会って、こんなにも寂しい言葉だったんだろうか・・
アクセス例:函館駅から函館本線長万部行、石谷駅下車。送迎あり(5キロ程)
車なら、森インター下車。
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鄙びた温泉
三つの浴槽があって、源泉近くの浴槽は激熱でした笑
水入れられるので、ちょっと温くして入りましょう!
のどかな場所なので、雰囲気最高ですし、また行きたい温泉の一つです!
令和元年5月素泊まり泊。行きたいという思いは、予約電話をかけた時から始まっていた。その通り、とても温かみのある御主人が、石谷駅で待ってて下さっていた。
「見てく?昔、道内で一番多くニシンが取れて、その碑があるの」と駅のすぐ隣にある鰊の碑を見て「ここからが一番眺めがいいんだよ」と海の向こうの蝦夷駒ヶ岳の写真を撮った。
海抜6mと表示された石谷駅。函館からは1両列車が、海とレールが並び、そして、森のイカめしで有名な森駅を過ぎ、番屋の並ぶ何もない海辺の町を通り過ぎて来た。
鰊で賑わった漁村からは、山側になる濁河温泉の開拓民達は昔「カラスって言われてたんだ」と苦笑いしながら話された。
山の方へ入って行く。「小学校だけは山に造ったんだ」と。湾になっているため津波の危険は低いそうだが、何といっても海抜が低い。新しく可愛い小学校が建てられていた。
「ここら辺一帯は、噴火口」という事で、濁河温泉は、カルデラ温泉だそうだ。そう言えば、外輪山の中の平野に、大きな1軒家があった。
向かって左側は明治~大正の建物で、混浴があり、宿泊は右側の昭和に建てられた新館で、女性用浴室がある。
2年前奥様を亡くされ、以降は4代目となる息子さんが、料理担当をされており、大旅館で修行したジビエ料理を提供されているそうである。
「今日はお客さん1人だから」と言われた途端、マイ温泉になる。温泉宿に泊まり、いつでも自由に1人で入れるという事程、贅沢な事はない。
部屋は広く、厚みのある羽毛布団が敷かれていた。テレビ、冷蔵庫、アメニティも揃っている。
問題なのはトイレが、浄化槽であるという事。これで1人1泊素泊まり4000円という価格であった。
地元の日帰り客がポツポツと後を絶たず、20時以降を待って、混浴へ。
浴室に入った途端、木系+シンナー系?と言おうか、う~んいい匂い。
湯舟は3つあり、内2つは加水できるが、それぞれ微妙に温度差があり、好みの湯船というか、いずれも熱いので、できるだけ加水無しで浸かれる湯船を探してかけ湯を繰り返す。
熱めであるが、浸かれない事は無い。浸かっていると実に気持ちが良い温泉である。
浴室は籠り感がすごい。湯気がミストになって立ち昇って行くのが見える。沁み沁みと浸かる。あ~いい湯だ。この温泉を是非味わって頂きたい。
湯の色は透明、緑茶色。味は極々薄く塩味。 浴槽の元はコンクリートだったのか?ベージュ色の析出物で、こってりとコーティングされ、柔らかく丸みを帯びている。床も析出物で波打っている部分が多い。
天井は、中央が明かり採りのためか、ビニール製となっており、それがバラック感を高めてしまっているが、木造天井の浴室であった。
女性浴室は趣は無いが、湯温は混浴に比べやや温めのため入りやすい。引湯距離が長いためと思われる。と言っても地下10メートルから湧き出ており「他の宿は数10メートルから数100メートルも掘ってるんだから、飲泉できるのはうちだけ」うちの温泉が一番と御主人が言われる通り、素晴らしい泉質だと感じる。
女性湯船は段になっており、寝湯もできる。どちらも勿論24時間かけ流しで、入浴できる。
余りの気持ち良さに1泊の間5回入ったが、とうとう5回目には、ずっしりと背中に子泣き地蔵を背負う事になってしまった。「うちのは濃いから」入り過ぎ注意である。
温泉表示は当時の色褪せたものが貼られているだけで、食塩泉と書かれており、成分は5千を超えていた。
宿の前の、満開のかんざしの花の下、山積みにされた大きな石があった。露天風呂を、造る予定だと言う。その前には「足湯・足丸」と書かれた船が横たわっていた。
いつか実現して頂けたらいいなーと思った。
館内に、新栄館が舞台になった「温泉の神様の失敗」という、ご当地本のポスターが貼ってあり、求めたが宿には在庫がなかった。奥様と並んで写られていた御主人の姿があった。
息子さんが宿を継いで下さることは喜ばしい事だけど、御主人の中では奥様を亡くされた寂しさが、癒えられていないのだろうか・・
電車の時間に合わせ、長くおらせて頂いた帰りも、石谷駅まで送迎して下さった御主人が、ぽつんと一言「一期一会になるかも知れんけど・・」と言われた。
一期一会って、こんなにも寂しい言葉だったんだろうか・・
アクセス例:函館駅から函館本線長万部行、石谷駅下車。送迎あり(5キロ程)
車なら、森インター下車。