日本で唯一の間欠泉と露天風呂が一体となった珍温泉
- 公開日
- 2018/10/30
- 最終更新日
- 2021/01/09
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知る人ぞ知る野湯で、温泉マニアには親しまれてきた広河原間欠泉がこの度、驚く事に宿泊施設へと生まれ変わった。(2005年10月8日オープン)
広河原間欠泉は大正時代、歩いていく湯治場として栄え、旅館は予約制にするほどの盛況ぶりだったという。
その後建物はなくなり、野湯→日帰り施設となりついに旅館「湯の華」が誕生した。
「接客を向上させたい」と考えておられる社長さんは熱意が溢れ、旅館としての食事や温泉使いにも気を使い、今後人気の温泉宿となる事は間違いないだろう。
湯の華への道のりはそんじょそこらの秘湯と思って向かうと泣きを見る。
道はもちろんダート。舗装道路からダートへとなってから約35分はかかるだろう。
道幅は狭く対面から車が来た時は場所によっては避ける場所がなく大変な思いをする事も・・。
川沿いの道は特に辛く、手すりのない橋を3つ渡って向かわなければならない。我が家の車は幅2メートル。ほとんど余裕がない橋の幅に何故か私の震える運転でトロトロと向かい、最後に駐車場が見えた時の安堵感といったらなかった。工事の時はこの橋をユンボ(削岩機・掘削機などを載せた大型台車)が渡ったと言うのだから驚きだ。
露天風呂は大きく仕切られ、外からは何も見えない状態になっている。
垂れ流し状態で出来た見事な析出物も外からは見る事ができない。
その奥へ見える旅館はというと、こんな秘湯に?と驚くような綺麗で近代的な雰囲気。
玄関へ入るとまだあたらしい匂いのピカピカな館内が気持ちがいい。
ロビーにはソファーが置かれ、大きな窓から外が明るいと川と木々が見渡せる。
ここからは小さなテラスへ出る事もできる。
残念なのは秘湯ならではの風情がない事だが、誰が来ても納得の綺麗さだとは思う。
部屋は全て2階にあり、全部で6室。
電気はもちろん自家発電。
廊下は天井が高くとてもお洒落で女性好みのしそうな空間が広がる。
部屋にはトイレ、洗面所はないものの、部屋6室に対して洗面所が4箇所、トイレは2箇所、部屋から出てすぐにあるのでまったく不便はなかった。
1泊2食付 9300円 金曜日泊 10畳「つつじ」 (全室トイレなし)
帰りにできれば他の部屋も見せていただけないかと聞いたがほぼ同じ作りとの事。
この部屋は5人部屋のようでとても広かった。
部屋にテレビはなく自然の音のみで過ごす。
部屋に入り、まず目に止まったのは窓から見えるライトアップされた木々。
その下には川が流れ、川の音を聞きながらライトアップにうっとり。
ご主人のこだわりのもてなしに感動した瞬間だった。
食事の間に布団もしいてくれる。
宿泊料金が9000円代の場合、セルフサービスの宿も多いというのにいたせりつくせりだ。。
ただ難点は少し布団が薄く寒かった事。
山奥という事もあり夜中の冷え込みは激しい。
暖房も足元暖房のような小さいものが一つあっただけななので、できればもう少し部屋全体があたたまる灯油の暖房などを入れていただけると快適だな。。と感じた。
さらに浴衣の羽織が置いてあるとなおいいと思う。
山の幸をふんだんに使った好味の料理が膳を彩る
秘湯ならではの素朴な食事を想像していたわけだが、想像とはまったく違う食事に愕然とした。
地の物をふんだんに使用した料理の数々。
前菜から始まり、岩魚の新鮮な刺身、野菜の天ぷら、山菜の煮物、キノコいっぱいのあたたかいお鍋、とにかく山の幸満載ですべてが美味。
最後には黒キノコという珍品の炊き込みご飯と松茸のお吸い物でもうこれでもかといったすばらしい食事だった。この料理の数々は9300円の宿泊料金で食べれる料理ではない。
食事だけでも宿泊する価値があると思った。
日本で唯一 間欠泉から吹上がる湯を浴びながら入れる露天風呂
日本には間欠泉は沢山あるものの、露天風呂の中に設置され、間欠泉の湯を浴びながら入れる温泉は未だかつてない。間欠泉の湯は熱すぎて浴びるなんてとても無理、となるのが他の間欠泉だ。一日中湯が噴出しているわけではないが15分~30分ほど待つと出始める。この日は2,5メートルほど吹き上がるところを見る事ができた。湯温は低く35.1度ほど。
この時期には辛い温度かもしれないが夏には最高な温度だ。
間欠泉から出る湯を飲んでみると、炭酸と甘みのある鉄味。おいしくてグビグビ飲める湯だった。
1日に1度10メートル吹き上がると言われているがそれはないらしい。日帰り施設だった時の管理人さんも自慢げに言っていたが、本人も見た事がないと言っていた。
露天風呂の前には前回来た時よりも増して分厚くなった析出物の山が広がる。
うろこ状となった析出物はマニアの心を射止める事間違いなしだ。
露天風呂からの眺めは目の前には析出物の山、遠くには自然の木々で出来た山が見渡せ美しいコントラストが拝める。
混浴の露天風呂の他に男女別の露天風呂も用意されているが、この時期冷たすぎるのか湯が張られていなかった。 |
夜には全ての露天風呂が裸電球の明かりで照らされ、秘湯にいるという実感が湧く。
10月ではまだ紅葉が始まりかけな程度だったがもう少しするとモミジも色づき絶好の紅葉スポットでの湯浴みが楽しめるだろう。
女性用内湯 (男性用もほぼ同じ)
内湯は加熱された湯が掛け流されている。
しかも24時間という事で大変だろうな、と思うと共にありがたや・・と夜中静かな空間で湯船の淵へ寝転がりトド状態を楽しんだ。
約1時間ほどいただろうか・・あまりの気持ちよさに思わず寝てしまっていたようだ。
鉱泉の鉄泉を加熱するとピリッと肌に刺激のある湯になる事が多いが、ここの湯は加熱されてもまろやかで肌触りも良い。
温度は40度ほどに設定され、適温で気持ちのいい内湯だった。
窓も大きいため、換気も良い。
オープンして間もないというのに既に床は成分が染み込み赤茶けていた。
1日での成分の溜まり具合も激しく、夜から朝にかけての間だけで床を歩くと足跡が残るほどなのには驚いた。
シャワー・カランは3つ、シャンプー、リンス、石鹸も備え付けられている。
部屋や廊下などもさる事ながら脱衣所も隅々までピカピカ。
洗面所もチリ一つ落ちていなかった。
以前来た時はたしか成分表はなかったと思ったが、今回は新しく作成された成分表が額に入って表示されていた。
朝ごはんもケチのつけようがないほど温かみのありおいしい食事。
鮭、目玉焼き、山芋、煮物、ナメタケの味噌汁。
全ての味付けが良く、朝からついついお腹いっぱいになるまでつめこんでしまった。
湯上りにロビーでくつろいでいると社長さんが声を掛けていただいた。テラスへ出て、長々とお話をさせていただき気がついたらもう10時・・・チェックアウトの時間を過ぎてしまい社長さんはゆっくりでいいですよ、と言ってくれましたが、汗ってチェックアウトを。
その後、社長さんに大木や綺麗な清流を見に連れて行っていただいた。
歴史を感じる大きな木々が多く、枝ぶりも見ごたえがある美しい木だった。
少し黄色に変色した葉っぱがまた綺麗で次回は紅葉まっさかりに来て見たいと思った。
湯の華へ向かう途中に大きな池のような釣堀があり、人がのんびり釣りをしている風景がみれる。
湯の華で出ている岩魚はここで捕ったものだそうだ。
【広河原温泉の良いところ】
間欠泉の露天風呂は今の時期少し寒かったが泉質は抜群に良い。
そして何より良いのは食事!出される料理は地の物中心で味付けもかなりのレベルの高さ。量も多く私は申し訳ないと思いつつも半分ほど残してしまった。
部屋も綺麗で部屋から見えるライトアップされた木々も嬉しい。
トイレや洗面所が綺麗なのもポイントが高い。ほぼケチのつけようがない完璧さ。
しかも宿泊料金は9300円と格安な上での話というのがすごいところ。宿泊する価値がある旅館であると私は思う。
【広河原温泉の良くなかったところ】
あまりないと私は思うが、通常の悪路ではないという事は言っておこう。
普通の秘湯にある旅館程度に思っていくと痛い目にあう。覚悟の上で向かう事をお勧めする。
あとはあえて言うとせっかく秘湯にあるのだから私的には風情がほしい。近代的からほど遠いほど良いと思ってしまうのは私の好みからだが・・・・。
布団や暖房が弱いところがなんとかなれば、誰もが満足できる最高の秘湯の宿になるだろう。
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