1日1組の贅沢と貸切足元湧出ふんわり風呂で極上の時間を
- 所在地
- 福島県耶麻郡猪苗代町大字若宮字下ノ湯甲2970
- 最安値
- 1泊2食付18,650円~
- クチコミ 観音寺川の桜を見に、中の沢温泉と横向温泉のマウント磐梯へ宿泊した。今年の桜は例年に比べ更に2週間ほど早かったが、磐梯山の麓にある横向温泉へと進むに連れまだ積雪も見られていた。
3年前に訪れた時は素泊まりでも送迎してくれたのだが、今は食事付きの宿泊でないと送迎はして頂けなくなっている。おまけにお宿はかなりの値上がりをしており、素泊まりでさえ1万円以上し、食事付きとなると25000円以上もしており、私が行った時より5000円は値上げされていた。何故この宿がこんなにお高いのかと不思議に思うが・・
今回は、送迎をして貰える近くのマウント磐梯へ宿泊し、滝川屋へは日帰り入浴でやって来た。もう来れないであろうと思っていた温泉へ入れるのはとても楽しみであった。
日帰り入浴は11時~14時までの間の予約制で、1時間1人なら1600円。2人なら1人1100円と、1人辺りの価格は下がるシステムであった。
到着時刻は厳守であるのには理由があった。まず、20℃の源泉を30度に温めておかねばならない事。脱衣所のストーブを点火しておく。そして到着すると湯たんぽを渡される。
湯たんぽは浴室までは女将さんが運んでくれるが、帰りは持って帰らないと行けない。
結構重いが階段を上がったりしながら玄関口付近まで持って返さなければならないと言う事。
温泉に向かうと真新しい材木で建てられた立派な宿泊棟ができていた。私が素泊まりで泊まったのは、鄙びた素敵な角部屋だったなと思いながら通り過ぎる。
脱衣所に点けられているストーブは入浴中もそのまま点火して於いても良いとの事だった。
浴槽にはアルミシートがかぶせられているが、入る際は女将さんが外してくれるが、帰りは当然覆って行かなければならない。
とにかく重油代がかかるので、入浴代が高いらしい。そんな中、究極の思い付きが‟湯たんぽを抱いて入る”だったそうだ。
これは私も初めての体験であった。ポリタンクを抱かまえて入浴するのだ。
4月終わりと言っても、宿の周りにはまだ残雪がある中、30度の風呂は寒い。しかもこの広々とした木造の浴舎では寒々としているばかり。1時間近く冷泉に浸かっていられたのも、この湯たんぽのお陰と言えるかもしれない。ポリタンクを抱いたり、お尻の下に敷いたり、脚に挟んだりしながらとにかく入浴したのだった。
温泉に関しては確かにここの温泉は神秘的である。横向温泉というこの辺りに湧出している源泉自体が、他の地域には無い特殊性を持った温泉である様に感じる。単純泉でありながら油臭を持ち、湯華が多く、泡付きがあり、湯の色が一言では表せない様な複雑性を持っている。
中でも下の湯の特徴として、断トツに湯の花が多いのだ。オレンジ色のフワフワとした、手で救うと直ぐ消えて潰れてしまう、天かすより柔らかい湯の花が多量に湧き出て来ている。
大きな長方形の仕切られた木の湯舟の隅の方からは、ブクブクと泡が立ち源泉が自然湧出して来ている事が解る。そしてその源泉は多量の湯華を噴き出し乍ら湧出して来るのだ。
広く高い天井の浴室の窓ガラスを通し、春の陽が深く差し込んで来る、深緑色をした霊泉に、湯たんぽを抱えながら1人で浸かる温泉とはどんなものかと可笑しく思いながらも、45分はあっという間に過ぎて行った。
女性湯は温められておらず入れなかったが、アルミシートをめくってみると、以前と変わらぬ超大量の湯華が見られた。この湯に浸かった時にはまるで、天ぷらうどん(安くて天かすばかりが多い)を食べ終わる頃の天かすの中に浸かっている様に思える程に、湯の花ばかりだった。そう、特質すべきは湯たんぽでは無く、湯華の多さであろう。
奇跡の様に多い橙色の湯の花は、中の湯とはまた違うここだけの湯の花である。
お宿の広い敷地内が日本の原風景であるかの様に、小川が流れ水芭蕉が咲き、水車小屋や池があり、祠が奉られ、山桜や紅葉が迎えてくれる鄙びた家屋は、ここでしかない穏やかさを抱いている。福島の小さな故郷がまるでここにあるかの様な温泉宿が迎えてくれる。
アクセス例:JR猪苗代駅から中ノ沢温泉行のバスで沼尻バス停下車し、ホテルマウント磐梯の送迎(宿泊)を利用し、マウント磐梯より徒歩10分程。
,